一級建築士で建築ライターのきたのです。
個人設計事務所で約10年勤務し、主に住宅の意匠設計に携わってきました。
現在はライフスタイルに合わせ、ライターのお仕事を主にしています。
こちらの記事では建築が大好きで文章を書くことも好きな私が、建築ライターをしようと思ったきっかけをお話します。
デザインしたものが形になっていく様子を間近で見ることができる
まずは建築士の仕事が大好きな理由をお伝えします。
一つ目の理由は、自分がデザインしたものが実際に出来上がっていく過程を、初めから最後まで見ることができるからです。
まずはお施主さんの素敵な家にしたい、理想の暮らしがしたいという想いを丁寧に汲み取ることを大切にしています。
ヒアリングのあとは現地に向かい、法規チェックを含め周りの建物や風景を確認し、双方の情報を踏まえプランを作成していきます。
このような経験はライターのお仕事にも生かされていています。
出来上がったプランについて説明する際には、パースや模型などを使ってお施主さんに分かりやすく伝わるように工夫する。
意見を伺いながら、プラン修正する過程は根気が入りますが、何度もやり取りをしていく中でプランも徐々に育っていくことにやりがいを感じます。
工事の中で一番華やかで醍醐味があると思うのは、なんといっても建て方です。
長い時間をかけて練り上げてきたデザインをもとに、大工さんが総出であっという間に立ち上がげていく様子は、何度見ても鳥肌がたちます。
現場を支える監督さんや職人さんの段取りも素晴らしい。
その後も「施工が図面と一致しているか」確認を進めながら、建物が徐々に出来上がる工程を見ることができるので、とても勉強になり面白いと思っています。
人と人との関わりで作り上げる面白さ
二つ目の理由は、建築が人と人との関わりによって作り上げていくものだからです。
当然ではありますが、建物は決して建築士だけで作り上げるものではありません。
大工さん、左官屋さん、基礎屋さん、設備屋さん、いろんなプロの手を通して、形にしていくということを忘れてはいけないと思っています。
お施主さんと打ち合わせをして出来上がったプランを、現場監督さんや職人さんに正確に伝えることは、建築士の重要な役割です。
施工側にとってどんな情報が求められているのか、そのためには図面にどんな情報を書き込んでおくべきなのか。
施工するために必要な情報が伝わらないのであれば意味がありません。
設計事務所勤務であったこともあり、物件ごとに関わる工務店さんも変わりました。
そのため、最初は施工側から怪訝な顔をされることもあります。
真摯に向き合うことで「そういうことであればできる」という言葉が出ると嬉しいものです。
現場で「ここどう?見てくれないかな」と声をかけてくださることもあります。
とても気持ちよく収まっているときには職人さんもどこか誇らしげでもあり、私も職人さんへの感謝の気持ちでいっぱいになります。
このように、お施主さんの想いを現場へ伝達する仕事ができることを誇りに思います。
お施主さんの笑顔が一番!
三つ目の理由は、引き渡しの際に、お施主さんの喜ぶ顔をみることができるからです。
何のために建物のデザインをするのか。
私は、建物に関わる全ての人の幸せのためにデザインするのだと思っています。
特に住宅は、お施主さんにとって人生でおそらく1回きりの大きな買い物です。
完成するまでは新しい家ができることに期待する反面、不安な気持ちがあって当然です。
そんな気持ちに寄り添いながら、質問や要望にも丁寧に答えていきます。
お施主さんとの間に信頼関係が芽生え「あなたにお任せするわ」などと言っていただくととても誇らしい気持ちになります。
最後には、お施主さんの顔がほころんだり、笑顔を見ることができればとても嬉しいですよね。
建築士の立場からライターとして建築と関わりたい
ここまで、私が建築士をしていてよかったと思う理由をお伝えしました。
ライターの仕事に興味を持ったのは、ライフスタイルの変化がきっかけでした。
お施主さんの幸せを考え、設計をする立場にも関わらず、自分の家族や暮らしをないがしろにしていては、よい設計ができないと思ったのです。
まずは、自分の周りから幸せにしていくことを大事にしていくために、建築との関わり方を変える決意をしました。
もともと好きだった文章を通して、ライターという立場から建築に関わり、私自身のやりがいにも繋がっています。
建築業界では、常にお施主さんや職人さんとのやり取りで日々多忙を極めます。
気になることがあれば、すぐにウェブで検索する時代、ウェブの発信が重要と分かっていながらも目の前のことを優先し後回しになりがちです。
そんな企業さんの悩みに寄り添い、想いを届けるお手伝いができればと思っています。