こんにちは。二級建築士ライターのサエキです。
まだ私が駆け出しのライターだった頃、出版社でガイドブックや季刊誌をつくる仕事をしていました。
当時の私は「センスが感じられる写真」があれば、読者の興味を引く記事がつくれると考えていたのですが…。
敏腕編集者と名高い上司の言葉と、ベテランカメラマンから受け取った写真をきっかけに、ある視点が欠けていることに気づいたのです。
この記事では、私が写真という表現手段をどう捉え、現在の記事づくりに生かしているかについてお伝えします。
この記事で伝えたいこと
センスが良く見栄えする写真だけでは、人の心を動かせない
スキー場のPR記事を、担当したときの話です。
私は編集部代表として、カメラマンと現地取材に出かけました。
リフトで山頂まで上がった私の目に飛び込んできたのは、澄み渡る青空とふかふかの新雪が積もった雪原。
一瞬で魅了された私は、人物が映りこまない風景写真をメインに、記事をつくろうと思いついたのです。
カメラマンは丸二日かけ、見栄えが良いイメージカットをはじめとする、沢山の写真を撮影してくれました。
編集部に戻り、写真を見返していたときのこと。
通りがかった上司が、話しかけてきました。
「まるでポスターみたいだね。それがウリ?」
人の心に強く訴えかける写真には、想いやこだわりを語る力がある
私は思わずはっとし、取材先で何度も見聞きした言葉を思い出しました。
それは「スキーヤーオンリー」というスキー場のコンセプト。
スノーボーダーを解禁するところが多いなか、なかなか踏み切れない思い切った施策といえます。
大切なのはライターの主観より、クライアントの想いを伝えること。
そう気づいた私は、写真を全て見返すことにしました。
”八の字ターンを練習する、子どもを見守るご家族”
”縦一列に、ゆっくり滑り降りてくる学生グループ”
それまで目に留まらなかった人物にフォーカスした写真から、スキー場の世界観が伝わってきたのです。
~らしさが伝わる写真で、共感する相手に選ばれる記事をつくりたい
スキー場のターゲット層は、スキーに慣れていない方や子連れファミリー。
そんな方々の共感を生み、関心を持ってもらうには、近いレベルと思われるスキーヤーの様子を、視覚的に表現するのが効果的です。
私は、子どもを真ん中にゆったり滑る、ファミリースキーヤーの様子を捉えた写真を選んで記事をつくることにしました。
記事が出稿された後日のこと。
クライアントからの連絡で、その記事を読んだある家族連れが、スキー場に足を運んでくれたことがわかりました。
想いや価値観は、写真を通して伝わる。
そして共感は行動に繋がることを、学んだ出来事でした。
価値観が近い読者と繋がるため、1枚の写真選びにもこだわります
振り返って考えてみると、カメラマンは、最初からスキー場の想いを汲み、そのこだわりに共感しそうな読者層を想定していたのでしょう。
この経験をきっかけに、私は写真に対しての考え方が大きく変わりました。
「写真は、想いやこだわりを読者に伝えるために選ぶもの」
この写真を通じて、こちらの想いを的確に読者に届けられるのか。
この写真は、価値観が近い読者の心に本当に刺さるのか。
たった一枚の写真を選ぶ際も、この点を強く意識し、クライアントと読者との橋渡しとなる記事をつくることを、常に心掛けています。
出版社を退職後は、フリーのライター集団に属し、日本文化やインテリアなどの紹介記事に携わりました。
ジャンルは違えど、写真へのこだわりはどれも同じ。
どんなテーマでも写真に想いを込め、読者に刺さる記事をつくることが私の強みです。